すてきなご夫婦との出会い

最近であったご夫婦。奥さんの方が肺炎を起こし、口から食事がとれなくなって毎日点滴をしに伺うことになりました。 ご主人は以前奥さんが入院したときベットに手足を縛られた経験があり、このまま自宅でどうにかやってみると決めました。それから点滴、酸素,吸引・・・とバタバタといろんな機械が入り、人が入りやっと夕方ご主人とほっとできる時間が取れました。 ご主人は何年もの間一人で介護を続けてきており,今回はもうだめかとあきらめたそうです。もう自分のことを旦那さんだとわからなくなってしまったこと、前はきつい言葉でご主人に口答えするので思わずたたいてしまったこと、そのことを奥さんは覚えていたことなど話してくれました。本当にご主人一人でよくやってきたよと思わず言ってしまいました。そんな大変なときこそ助けにきたかったと。  そして、肺炎の治療がすすみ、徐々に嚥下力も回復してきました。そして、名前を呼ぶとちゃんと『はーい』と返事してくれるようになり、おかゆも食べられるようになりました。そんなとき、ご主人は「おれは使用人だと思ってるんだよ。だからおれにありがとうなんて言うんだ。前はそんなこと言わなかった。」と。ご主人のことは忘れてしまっても、「ありがとう」と言われるプレゼントをもらったようでした。そんなとき奥さんに「このひとはだれ?」と聴いたらちゃんとご主人の名前をいったんです。ご主人もびっくりしていました。 そして、点滴をしているときや夜、「手をにぎってはなさないんだよ。もの寂びしいのか」とご主人はまんざらでもない様子でした。ちゃんと会話もできるようになりご主人は「もう使用人解雇されると思ったのにまだみたいだな」と。 もしかして、縁がなかったらご主人は介護を続けてきた苦労や後悔の念がのこったままお別れしてしまったかもしれません。こうしてちょっとした介護者さんの思いが救われる時間が持てたこと,そのお手伝いができたことがわたしのやりたかったことなんだと改めて感じたご夫婦との出会いでした。 ご主人の人の良さに心洗われ、ご縁があったことに感謝したいです。