認知症患者さんのほとんどが、施設入所ではなくご自宅で過ごされている方がほとんどです。先日、日本の介護しやすい街という調査の結果がTVで放送されていましたが、施設に空きがあり入りやすい=介護しやすい街という視点でした。認知症患者さん患者さんの場合、発症した初期のころは家族も気づきづらく、体は元気なので施設入所というよりは、ご自宅で介護を受けている方が圧倒的に多いのです。そのため、施設の待機がないという視点ではその街が認知症患者さんとその家族にとって暮らしやすい街か判断が難しいところです。そして、今後もますます認知症と診断を受ける患者さんは増え続けます。認知症患者さんとその家族が暮らしやすい街づくりがひいては介護しやすい街となってほしいものです。
そうした、認知症患者さんとご家族の在宅生活を支える場所としてデイサービスがあります。私自身、デイサービスで健康管理を行っていた経験からも、認知症患者さん、ご家族のニーズに沿ったデイサービスに通えることができたら、とても穏やかで楽しく元気に過ごせると思います。
しかし、ケアマネさん方は、デイサービスに通ってもらうために相当苦労をされています。残念ながら、デイサービスに通わせることが使命となっている場合もあります。認知症患者さんの場合、デイサービスという場所が説明されても想像できず、やっと見学までこぎつけても想像と違った場所、知らない人ばかり、ほっとかれた、トイレを強制された、立ち上がると止められた、大人数で騒がしいなど印象だけがイメージに残ります。最初の見学でいやな思いをすると二度とそのデイサービスにはいってくれません。
デイサービスだけでなくなにか進める場合には、まず第1印象が大事です。そのためには相当、綿密な根回しが必要です。認知症患者さんのもともとの趣味や背景(主婦だった、社長さんだった、職人だった)などがヒントになることが多いです。これが好きかも、これっだったらやるっていうかも、行くっていうかもというアンテナを常に張っておきます。そのためにはヘルパーさんや、訪問看護、ケアマネさん、近所の人ご家族からの情報がとても大事で、チームワークが必要です。この方法なら大丈夫というこつをデイサービスの職員も含めみんなで共有しておきます。日々のかかわりの中で、デイサービスであれば通う気になるように少しづつ話題にだし、ご本人からそれなら行くよという言葉が出たらしめたもので、その場合はスピーディに動きます。
認知症患者さんには「嫌なことはできない」が合言葉です。ですがこれは裏を返せば本人がいいよというように持っていければうまくいくということです。しかも印象だけが残るということはいいこと、心地いいこと、笑顔で接してくれる、やさしい、気分よく接してくれる、せかされないなどいい印象を残すように普段から接することで信頼関係が築けるのです。