認知症患者さんの専門職が行う在宅ケア

研修や会議でいつも話題になっている地域包括ケアの推進を、早急に進めなくてはいけなことを実感しています。

しかし、認知症患者さんとその家族の苦悩や生活の困難さの解決にもっと真剣に行政や専門職が取り組まなくてはいけないのではないでしょうか。大変さはわかっても解決方法を考えなくては、専門家とはいえません。ただのおっせかいな近所のおばちゃんです。虐待につながるケースやBPSDで家族が疲弊しているケースなど、ただ話を聞くだけではだめです。問題が起きている現場に何度も通い、家族の関係性やその方や家族が困っていると感じていることを見極めなくてはいけません。いわゆるごみ屋敷もそうです。ごみはそんなに問題じゃないのです。汚くても死にません。その方が困っていることを本人・家族がどう解決したいか。それは本当に人それぞれで、自分の価値観でものを見ようとするとご本人もご家族も受け入れてくれません。よく家族が認知症だということを認めたくない、理解していないからことが進まないという専門職がいます。認知症という疾患だと家族が十分に理解しなくてもいいのです。「理解」ではなく必要なのは「納得」です。なぜ本人がものをため込むのか、夕方になると自宅をでていくのか。その裏には必ず理由があります。その理由を探り、家族にその理由をわかりやすくかみ砕いて説明します。これは家族だからこそ感情的になってしまうため、第3者でしかも認知症という疾患が原因で起こっている言動を判別できる専門職でなければできません。まずはご家族が認知症によって起こっている言動だと納得することです。疾患の理解は家族にはあまり必要でありません。そして専門職の対応の仕方をご家族は見て習得していきます。ご家族には認知症症状によって起こっている言動に対処する方法を習得することで、認知症は治らなくても生活しやすくなり、ご本人の家庭での居心地もよくなります。

このようなことをだれがやるのか。私は適任は訪問看護師だと思ってます。認知症患者さんはほとんどが高齢者です。身体的な問題によって認知機能の低下が起こっていることもあるし、治療しうる認知症もあるためその見極めが大事だからです。そして、介護保険も要支援から使えるため、30分からでも定期的に通うことができ、顔見知りになれるからです。しかも認知症患者さんのお宅では毎日いろんなことが起こります。そのたびにご家族をねぎらい、解決策を一緒に考えるためにも、定期的な訪問ができ、いざというときは駆けつけられる近くの訪問看護が適任だと思うのです。しかし、訪問看護師がみな認知症患者さんのケアに詳しいかというとそれは疑問です。訪問看護で接することがある認知症患者さんは身体的ケアが必要となった要介護以上の方の依頼がほとんどだからです。 BPSDが出やすい認知症初期~中期にかけて、歩けて身体的には元気なかたですとかかわってもケアマネさん、ヘルパーさん、包括の方くらいです。 ですが研修に行くたびに、包括やケアマネさんが認知症患者と家族の困難事例を出してきます。どんなことに困っていて、どう解決したいか。それには適任はだれか。自分ができないならできそうな人に託す。 それには地域の在宅認知症患者さんのケアを託せる人がいないか、アンテナをはっておくことが重要です。

認知症患者さんの歩んできた人生にはSTORYがあります。みんなから尊敬されるような生き方してきていない人もいるし、誰にも気に留められない人生かもしれません。でもどんな方でもそれまでのその方の歴史に思いがあり、人生の締めくくりに、まずまずな人生だったなと思ってほしいものです。 それには専門職・行政が机上の空論ではなくもっと制度や決まりの枠を超えて取り組まなければいけないのではないでしょうか。 まずは訪問看護師の認知症ケアのレベルを上げる方策を考えます。